
前回のブログ・その1にて少しお話しをした、イタリアの夏休み100日間をママたちはどうやり過ごしていくのか?の続きです。その1でお伝えしたファミリーの夏休みの過ごし方は、100日間の約3分の1ほどを何とかカバーできるものかもしれません。
残りの期間はどうするのか?(あと60日くらい…)
ご家庭によりますが、親戚や祖父母に預ける、ベビーシッター頼み、学童に似たようなサマーキャンプに送る(有料)、仕方ないので、ママはプラスアルファ休みを取る…など様々です。夏休み期間に入ると見られる現象としては、親が子供を職場に連れて行くというものです。もちろん職種に寄りますが、6月あたりは特に、小規模店舗の経営者、レストランのウエイターなどが仕事場の隅で子供を遊ばせながらやりくりしている姿をよく見かけるようになります。その場合の子供の年齢は大抵の場合小学生で、レストランのテーブル一つを借りて、宿題やお絵かきをしたりして過ごしている姿が見受けられます。
その他、フィレンツェのママたちが大いに活用するのが、ボーイスカウトです。イタリア国内では、参加者側と運営側スタッフ合わせて、約185,000人が、ボーイスカウトに参加するそうです。(注2)
フィレンツェのママたちは、家族の所有するセカンドハウスや実家にあまり頼れないと踏むと、子供が生まれてまもない頃からこれが頭にあるようで、幼稚園時代にすでにボーイスカウト参加申請をします。幼い頃からさまざまな活動を提供してくれるこのボーイスカウトは、だんだん大きくなるにつれて、長期で山岳部宿泊体験、様々な活動の機会を設けてくれるため、親御さんにとってはとても助かるものとなります。実は、似たようなオーガナイズが教会でも主催されますし、他各種団体が若者の育成のためのプログラム、サマースクール、数日から1週間ほどのキャンプ等をオーガナイズしてくれます。
ボーイスカウトに参加していると、春休みや少々長めの連休など学校がお休みの度に、何かしらイベントやアクティビティを組んでくれるし、子供たちや担当者の大人たちは昔からの知り合いだし、親御さんたちにとっては、安心して我が子を参加させられるうってつけの場所なのです。
私は、このフィレンツェで流行りのボーイスカウトには子供を通わせませんでしたが、中学校生活が終わろうという頃、息子の様子を観察しながら、とあるサマーキャンプに10日間送ってみました。ここは、年齢別共同生活体験を組む山岳部のとある団体で、子供達が自主的にそれぞれの担当業務をこなしていく中で共同生活を成り立たせていくという、他のサマーキャンプとは少々様子が違う特徴に興味を持ちました。
大人側担当者は最初の2日間に子供たちの間のコミュニケーションを潤滑にし、この共同生活のやり方を伝授。3日目からはこれが機能するようにもっていく、子供たちは日中特に課題はなく自由に過ごしながら、共同生活を成り立たせて行く、そんなオーガニゼーションでした。
基本的に大人側から与えられたアクティビティを受け身にこなし、ランチは大人が全部給仕、後片付けしてくれるという、よくあるタイプのサマースクールとはだいぶ違うものとなっていたようで、それが気に入り、体験させてみました。
それでもいくつかのアクティビティは組まれており、例えば、ヤギの乳搾り体験、お面づくりの日、トレッキング、1泊テントで寝るキャンプの日があったりする中、山の家で自由に過ごすことができたようです。迎えに行った日は、様子を観察していると、卓球をする子たち、チェスに興じる男の子2人、おしゃべりの輪を形成している何人かの女子と男の子1人、そとでサッカーに興じるグループ、キッチンからゴミ出しをする子が通るかと思えば、まだ荷造りが終わらず友達と部屋にいる子…とそれぞれ好き勝手に過ごしていました。自分で考えて、周囲との共同生活にリスペクトを持ちながら、自分の自由意思で生活できる空間であったようでした。息子本人曰くとても良かったらしいので、行かせて良かったと思っています。

イタリアのママたちが腕を捲り上げてかかる時期は正に夏休みなのではないだろうかと思います。私自身、魚釣りが好きな息子のために、あちこちの山や湖に釣りに出かけ、釣り人の老人から鱒をさばくコツを伝授して頂いたことなどは、生涯の思い出になりそうです。イタリアママたちは体を張ってこの期間に臨むというのは、正に言葉通りです。海辺の家に中学生の我が娘だけを連れていっても喜ばないから、仲良し友達を1人か2人連れて1週間海で過ごしたりします。預かる方のママは、責任があるため、娘たちが浜辺で過ごすのを監視しながらすっかり日焼けして帰ってきます。それでも、子供らが楽しく健康的に過ごしてくれた期間だった!という充実感と満足感があればいつもより大人数分の食事を作るなどなんでもないのです。
しかし、それらの努力で、100日もの夏休み全ての期間を覆い尽くすことは難しいです。イタリアの夏は子供達にとって「何もない日」に向き合うことがあります。「それも人生」との構えでその空白の日を素朴に暇に楽しく過ごすのを良しとしています。
イタリアの夏休みが長いということから、大人たちは毎年重大な選択を迫られます。家に放って置けないから、一定の期間子供がアウトドアを満喫できる健康的な環境を作り出そうという方にほとんどの家庭がシフトします。そのためのバジェットを組まざる終えなくなります。海山の自然の中で過ごすことに対する価値観をとても重要視しています。そして、夏休みはそういうものだ、という考え方が社会に浸透しているため、会社でも従業員が夏休みを取るのを当然の権利と考えています。また何より、今の大人たちも似たような環境で夏休みを過ごしてきた思い出を持っており、肌にその感覚を残しているのです。イタリアの大人たちはこの長い夏休みを変える政策を推進しようと本気はだしません。それよりも本気を出してバカンスにお金をかけています。(注3)これらの要素は、イタリアでいかにグリーンツーリズムが盛んであるのかという理由にも繋がっていく点かと考えます。
アグリツーリズモ等の施設やキャンプ場、大自然人気スポットから、閑散とした素朴な地域の施設まで、イタリアの海山田舎の避暑地がなぜ元気なのかという理由でもあるのでしょう。
(注2) AGESCIという、イタリアのボーイスカウト協会が発するデータによる。当協会のオフィシャルFacebook から。
(注3)2025年の統計によると、イタリアのファミリーが1週間の海辺のバカンスにかける費用はおよそ3000ユーロから6500ユーロ。消費者連盟の統計によると、2025年の4人家族が海へ1週間バカンスへ行くためにかける平均的経費は約6377ユーロ。こう見るとかなり優雅な様子が窺えるが、一方、Italiaoggiというウェブ新聞6月30日の記事によると、夏のバカンスを諦める人の数の増加、1週間の海辺の滞在に3000ユーロは見積もらないといけないバカンスを諦める傾向について語っている。約5百70万のイタリア人がバカンスを見送る傾向に。余談だが、38万人が年老いた家族をおいて旅に出られないためにバカンスを見送るという統計が出ている。

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